強引な次期社長に独り占めされてます!
「普段なら食べに行くが、少し立て込んでいて社外に行って食うのが面倒なんだ」

書類に視線を戻した主任の頭を黙って見下ろす。

それはきっと、ほとんど私のせいだ。
ひとり休むと、しわよせが誰かに行ってしまうから……。

「すみません……」

「何がだ」

「私が休んだから……」

上原主任は書類を置き、私の顔を下から覗き込んだ。

「月次報告書くらいで僕が手一杯になるはすがないだろう。単に、書類提出期限ギリギリに大量に渡してきた奴がいるだけだ」

最後にはニヤリとされて、目を丸くする。

「だから、松浦が気にすることではない。それより、出前を頼みたいのが本題だな」

「あ……」

……昼休憩も限られる。まわりを見回して、誰か助けてくれそうな人を探して……野間さんに向かっていった。

「野間さん。あの……」

「はいはい。出前頼むなら、私は醤油ラーメンで良いわ」

手にしたチラシを見て、野間さんがさらっと注文してきた。

「頼むのは頑張りますから。募集を助けてください」

「簡単よ。壱の屋の出前取る人って大きな声を張り上げれば勝手に注文されるから。そっちも頑張りなさい」

え。何それ。そうなの?

「え、えーと……壱の屋さんの出前取りますー」

そんなに大きな声を上げたわけではないけど、事務所に残っていた人たちから注文が次々に飛んできた。

え。こんな感じ?

それを慌ててメモに取り、上原主任の注文も聞いてから、ドキドキしながら出前の注文をした。

やればできるじゃん、私も。
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