強引な次期社長に独り占めされてます!
でも、今日一日で半年分くらいの会話量だ。ぐったりと、デスクに俯いていたら……。

「上原主任。スパルタですねー」

遠くから、そんな野間さんの言葉が聞こえて視線だけ上げる。

上原主任が“スパルタ”?

「松浦はどうも内向的だから、これくらいがちょうどいいだろう」

上原主任の声も後ろから聞こえた。

「人のこと言えるんですか? 主任だって社交的じゃないくせに」

「僕は社交的にも“なれる”から」

……なんだろう。主任同士では話が通じている?

「せめて病み上がりじゃない時にしてあげて下さいよ。この子が大変でしょう? ただでさえ、人の言うことをまともに受け止めるのに」

「少しは大人を疑ってかかるべきだと教えてやれ」

ピョコンと頭を上げ、上原主任を振り返った。

上原主任はデスクに頬杖をついて、微かに、本当に微かに楽しそうに私を眺めている。

……これって、もしかして図られた?

「たまには経理課以外の人間と話すのもいいだろう?」

今度はハッキリと笑った上原主任に、口をパクパクとさせて絶句する。

そんなことお願いしたいわけではないです。だいたい全く話さないわけじゃないですし、私から単に話しかけないだけですし!

「これパワハラっていいますか?」

「これくらいでパワハラ訴えられたくないぞ。親心だろ、親心」

「こんな年の近いお父さんはいません」

きっぱりと答えたら、主任は眉を上げて腕を組んだ。
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