強引な次期社長に独り占めされてます!
「なんだ。ちゃんと自己主張も出来るじゃないか」

私だって自己主張くらいします!
それをわざわざ言葉にしないだけです。

だって、する必要もないでしょう?

確かにうちの会社は明るい人が多いけど、明るい人に合わせなくちゃいけないなんて法律はないし、無個性も立派な個性です。

……だいたい仕事をするのに個性的である必要がどこにある。いちいち面倒じゃないか。

「なかなか面白いな、君は」

30代そこそこで、そんな口調な主任もなかなか面白いと思いますけどね。
説教くさいって言うか。

……ん?

何かが引っ掛かって、眉を寄せた。

説教くさい……か。
と言うか、主任って、こんなに話をする人だったかな。

あまり記憶にない。私も頭を打ったかもしれないけど、主任もどこかで頭を打ってない?

「熱でもあるんですか、主任」

「……君は普段言わないだけで、言うようだな」

……迂闊なことは言わないでおこう。

こそっと溜め息をついて黙り込んだら、しばらくして出前のお兄さんが現れた。

それを受け取って、皆が取りに来ているのを眺めていたら、自分の分を頼み忘れていたことに気がつく。

一生懸命になっていたからって、なんとも情けない。
まぁ、いいか。今からコンビニに行って、何か買ってこよう。

コートに手をかけたら、主任に呼ばれた。
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