強引な次期社長に独り占めされてます!
「お前はどういう女だ」

上から見下ろされ、急激に“絶対零度”に変わった雰囲気の怖さに野間さんにしがみついた。

「上原主任。地が出てる、地が」

「……野間は黙って。今のはいくらなんでもひどいだろ。社会人としてどうなんだ、お前」

どうなんだって言われても。

「もう、今日は色んなことがあり過ぎて、何が何だか……」

たくさんの人と、いっぱいしゃべった記憶しかない。

ぎゅっと野間さんのスカートを掴むと、クスクス笑われた。

「上原主任も気付かなかったんですねぇ。松浦さんが自分から話しかける人って、ごく少数の、女子社員に限られるんですけど」

「……別に男を毛嫌いしているようにも思えなかったが。俺とは普通に話してるじゃないか」

「そうですねぇ。今日はたくさんしゃべってましたね。上原主任も」

上原主任は無言になって、それからしゃがみこんだ。

それからパラッと私の前髪を勝手にわけて、じっと見つめるから、慌てて前髪を下ろす。

「……そうか。お前はあまり知らない高井に怯えたのか」

……お、怯えたわけじゃないです。
ただ男子が苦手なだけで、その人が嫌いなわけでもないんだけど。

「だ〜から言ったじゃないですか、病み上がりなんだからって。普段の松浦さんでもいっぱいいっぱいなのに、あんなのはキャパオーバーでしょう。男の人はこれだから鈍感って言われるんです」

野間さぁん。なんていい人なんだ。
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