強引な次期社長に独り占めされてます!
「……だが、それでは社会人としてはダメだろ」

主任は溜め息をついて立ち上がると手を差し伸べてきたから、唇を噛み締める。

ダメなことなのはわかってる。
だから普段はそれとなく関わらないように、支障をきたさない程度に会話もするじゃない。

「男の人は、すぐいじめるし……」

見上げていた主任の顔がピシリと、ヒビが入ったようにひきつった。

「いい度胸だ松浦。俺が面談ついでに送ってやる」

「え。嫌です、野間さん助け……」

「今のは無理~」

野間さんに楽しそうに手を振られて、上原主任に腕をぐいっと持ち上げられて立ち上がらせられる。

「わ、私、上原主任がいじめるとは言ってませんから!」

慌てて言い募ると、主任はとても涼しい顔をして頷く。

「俺にもそんな趣味はないから安心しろ。ただ、教育はしてやる」

教育? 教育って何を?
ずるずると引きずられて自分の席まで来ると、主任はコートを取りながら、後ろの野間さんを振り返った。

「先に上がる」

「頑張ってくださ~い」

嫌ですー!!

抵抗虚しく引きずれて、目を白黒させる。これってパワハラなの? セクハラなの?

考えていたら、社員入口を出たところでじろっと見下ろされた。

「怪我人を引きずるのは気が引けるから、担いでやろうか?」

それって歩かないなら担ぐぞっていう脅しですか?

「歩きます! 歩きますから、離してください……」

ずっと腕掴まれてるのも、連行されているみたいで嫌だよー!
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