強引な次期社長に独り占めされてます!
「……初対面みたいな人は苦手です」

ボソボソ言ったら、主任は真面目な顔をして頷いた。

「かなり激しい人見知りなのはよくわかった……が、普段のお前は、そんなに人見知りを発揮してるとは思えないんだが」

人見知りを発揮していないわけじゃない……ただ、仕事は仕事なんだと思っているだけ。

事務所に来る人はうちのスタッフがほとんどだから、書類を受けとるとか、ちょっとした事でしか接点はないし、それくらいなら対応できる。

外部のお客様なら総務課の人が動くから、経理の私がお手伝いお願いされてもお茶を出すくらいなもので……。

それくらいの社会性は身に付けられていると思うし、思いたい。

「高井は単に詫びのつもりで言い寄ってきたんだろ? それなら社交辞令の内だし、あまり騒ぐと、あいつもお前も大変だろ?」

まぁ。あまり騒ぐと、見つかった人によっては倫理問題に発展しちゃうかもしれないけど……。

軽く呟く主任を見上げ、首を傾げる。

「彼氏がいるのか聞かれるのは、男性の社交辞令の内ですか?」

呟くと、主任は難しい顔をした。

「……そんなこと言われていたか?」

実は言われていたんです。

「朝のうちに聞かれてまして……だから、余計に車なんて嫌で……」

「……それは判断難しいなぁ。単に送ろうと思ってて、彼氏がいるなら悪いからって事で聞いてきてんのか、そもそも詫びだけのつもりじゃないのか」
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