強引な次期社長に独り占めされてます!
気合いを入れ直してパソコンに向かうと、芳賀さんと目が合って何故か微笑まれた。

「松浦ちゃん。今度女子会しない? 女子同士で飲んで食べて会話するって感じだけど、松浦ちゃん飲める?」

飲めるって聞かれるって事は、お酒かな。きっとそうだよね。

「ちょっとなら飲めるみたいです。まだ飲み慣れてませんけど」

「酒豪になれとは言わないけど、少し慣れた方がいいかもね。ね、クリスマスは何の仮装にするの?」

「え。ドレスコードは仮装なんですか?」

うちの会社は仮装するのがそんなに好きなの?

「確か、社長が仮装するのが好きなのよ。もともとイベント好きが高じてイベント会社立ち上げたくらいだし」

「へぇ。そうなんで……」

ゆらりと、背後に何かが立った影が見えて口を閉じた。

「まさか新入社員がきて2年目で、こんな注意が必要となる日が来るとは思っても見なかったが……」

絶対零度の低い低い声が聞こえてきて、持っていた書類を握りしめそうになる。芳賀さんの視線が、ゆっくりと私の背後に向かった。

「す、すみません。上原主任」

芳賀さんが呟いて、私も無言でパソコンに向きなおる。
それからチラッと芳賀さんと顔を会わせて肩をめ合った。

その後、書類を渡す以外で、私が主任を振り返る事は……何と無く恐くて出来なくなった。









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