強引な次期社長に独り占めされてます!
高井さんは、実はプランナーらしい。
私と遭遇した時には、スタッフさんが足りずに機材運びを手伝っていたのだそうな。

年齢は27歳と年上で甘いものが好きらしく、コースの最後に出てきたチョコレートムースを満面の笑みで美味しそうに食べていた。

「男の人が甘いもの好きって珍しいですね」

「そうでもないよ。君のところの上原さんもそうでしょう?」

「上原主任ですか?」

それはちょっと想像つかないかな。でもガムは食べていたよね。

「うん。前にデパートでケーキ買ってるところを見た。けっこうスウィーツ男子は多いんだよ?」

「ケーキ……」

キリッと真面目な顔をして買っているんだろうか、それとも、ニコニコと笑顔で……?

想像して、思わず吹き出した。
にあわなーい。でも口が裂けても言ってはいけない。
うん。人の好みはそれぞれだよね。
いや、でもそれって誰かにプレゼントの可能性もあると思うんだけど。

「それは知りませんでした。私、普段は主任とあまり話をしないので」

「そう? その割りに、いきなり助け求めに行ったよね?」

え。それは先週の月曜日の話でしょうか。

「わ、忘れて下さい」

「さすがにショックだった。松浦さんは上原さんが好きなの?」

その言葉に、持っていたフォークがポロリと手から離れて落ちた。
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