強引な次期社長に独り占めされてます!
この人、何をいきなり言い始めるの?

高井さんも頭大丈夫? 世の中そんなにいつも薔薇色じゃないよ?

好きとか嫌いとか、そういうのをいう前に、いろいろと問題があると……。

問題はあるけど、ないのかな。

いや、だって、そんな事ナイナイナイ。主任は主任だし。
デートも教育的指導の範疇だった。
本気でたぶん“指導”という意味になるだろうし。

でも“本気”と言われたのは確かだけど、別にどっちの意味にも取れるんだし、それを言ったら……。

あれ? どういうこと? 頭が混乱してきたんだけど。

「上原さん彼女いるの? いるなら……何だか見てたら奪い取れ、とは言えない性格みたいだけど、君って」

「え……や。あの……」

「脈ありだと思うんだけどなー。松浦さんは好きな男子はいないの?」

「わ、私は好かれないですから!」

慌てて言った言葉に、高井さんの目が真ん丸になった。

「どういうこと? そりゃ、女の子が皆“男は私を好きなのよ”とか言い始めたらドン引きだけど“私は好かれない”って断言する人もいないよ?」

え……やだ、墓穴を掘った?

「だって、私は暗いし」

「そう? 本当に暗い子って、自分の意見もあまり言わないし、君みたいにハキハキしてないよ?」

「わ、私だってハキハキしているわけじゃあないです。会話の流れにたまについていけないし、考えているうちにどんどんついていけなくなって、結果的に無言になりますし」

そう言ったら、高井さんが晴れやかに微笑んだ。
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