強引な次期社長に独り占めされてます!
「松浦さんは、話を考えながら会話をするタイプみたいだね。ノリで会話する人も多いのに」

「私だってノリで話しますよ~」

そういう時は、ガッツリ墓穴を掘ることの方が多いけど。

「松浦さんは、言葉で傷つけられてきたタイプでしょう。そういう人って言葉に気を付けるよね」

微笑みながら言われて、何て言っていいかわからずに困ってしまう。

うん、と言うのは簡単だけど言いにくいし、いいえ、と言えば嘘になる。

ぼんやりしていたら、お店の人が新しいフォークを持って来てくれた。

申し訳なくて恐縮していると、高井さんにクスクス笑われる。

「松浦さんは可愛いね」

「か、可愛いわけないじゃないですか。私なんて暗くてブスって言われ続けてますもん」

「人の魅力なんて、表面的なものだけじゃないでしょう? 一瞬の仕草だったり、その人の持つ雰囲気だったりするよ」

一瞬の仕草だったり、雰囲気……。

「残念だなぁ。松浦さんが男の子なら口説くのに」

「は……?」

男の子? 男の子って言った?

「え。高井さんは、そっちの……? やだ、私は何を聞いて……」

「あ。すんなり信じた?」

あれ。冗談?

「そうだなー。俺はかわいい系のちょこまかした男の子が好きだな。見てて飽きないし」

……ぉお。冗談ではないらしい。
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