強引な次期社長に独り占めされてます!
「……私のまわりには、男の子好きの男の人はいないです」

まじまじと高井さんを見つめると、彼もまじまじと私を見つめ返してきた。

「松浦さんは引かないんだね」

口元は微笑んでいるけど、目がマジだ。

「……え? だって、高井さんが男の子が好きなら、私がどんなでも関係ないでしょう?」

それに私が引くなんておこがましい。
高井さんが可愛い男の子とイチャイチャしている姿は、正直、全く想像つかないけど……って、何でこんな深い話になっちゃったのな?

「いやいや、緊張してる松浦さんはおっかないけど、普通にしていたら可愛いと思うよ?」

「お世辞を言っても何もあげません」

「やだなぁ、それこそ対象外の人にお世辞を言っても仕方がないよ」

とっても爽やかな笑顔で言われて固まった。これは……もしかするともしかして?

「松浦さんは自分の魅せ方がなってないんだよね。そのうっとおしい前髪は切るか、分けるか、上げるかした方がいい。あとは姿勢を正して真っ直ぐ歩くこと。猫背だと余計に愚鈍に見えるし、印象悪い。せっかく若いのに黒い服ってもったいない」

間違いなく、悪気のない指摘魔。芽依と似たタイプの人だ。

「なんなら、俺が男受けする服を選んであげようか?」

「遠慮しますし、遠慮して下さい。私と高井さんはお友達でもないんですから、そんな事をされますと、おかしな事になります」
< 84 / 270 >

この作品をシェア

pagetop