強引な次期社長に独り占めされてます!
「頭が痛いか?」

「頭が変なんです」

頭の中の思考がもつれた糸みたいに絡み合って外れない、みたいな。

何だかもやもやと霞がかってるみたいな感じって言うか。

もしくは、掴もうとした花びらが、掴みかけた瞬間に、ヒラリヒラリと手から抜け落ちていくような……。

うまくは言えないけど、何かがずっと頭の片隅に引っ掛かっている。

「それはどういう具合にだ。痛いのか、痛いのなら突き刺さるように痛いのか、締め付けられるように痛いのか。もしくは違和感があるのか、目眩でもするのか?」

「…………」

あなたは医者ですか。

冷静になっている主任につられて、私も冷静に突っ込んだ。もちろん心の中でだけど。

うん。何だか混乱している時に目の前に落ち着いている人がいると、不思議と自分も落ち着けるものなんだな。

芽依はいつも私以上に騒ぎ立てるタイプだから、これは知らなかった。

「何でもありません、気のせいです」

「そうか。それならいい」

席に戻ってから、もらったミルクキャンディを口にいれる。

……懐かしいなぁ。ソフトキャンディは苦手だけど、これは昔から好きだったなぁ。

でも、このキャンディを真面目な顔をして選んでいる主任も想像できなければ、あのかわいい女の子つきのパッケージをレジに持っていく主任も想像つかない。
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