強引な次期社長に独り占めされてます!
何かいい言い訳はない?
あったとしてもすぐには思いつかない。

どうしようか迷っていたら、主任が私の顔を覗き込む。

「まぁ、野間に捕まったんだから仕方ないと思え。お前も少しは飲めるだろ?」

主任はコートに袖を通し、それからまた私を見た。

そんな……クリスマスなんて派手で華やかなもの、私には縁がないよ。

や、やだやだやだ。しかも、どうしてそれを上司ふたりと“飲み会”的な事になってしまうわけ?

会社の飲み会なら他に人もいるし、その際は仕方ないから参加するとはいっても、こんな気が詰まりそうな飲み会は行きたくないですー!

「だからな、松浦」

主任が少しだけ気の毒そうな顔をしたから、必死になって主任を見つめる。

「社会勉強だと思って諦めろ」

ああああ、はい! これも社会人の努めってヤツですね!

確かにそうかもしれませんけど、納得いかなーい!

「帰って寝るだけよりいいだろ?」

「は……?」

「朝に言ってただろ。帰って寝るだけって」

やっぱり主任、すました顔して聞いていましたね!

顔を真っ赤にすると、野間さんの顔が視界に入ってくる。

そして楽しそうに笑った。

「松浦さん、それならちょうどいいじゃないの。上原主任に美味しいもの食べさせてもらいましょ。ぼっち仲間って事で」

そんな仲間は嫌ですー……。

けど……わかりました。行きます行かせていただきます。

もう、本当にハッキリ断れない自分が情けない。
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