3m先の君に恋愛奮闘中
私は頭をフル回転させてこの状況について考えた。
……いや、いくら考えても、さっぱりわからない。
分かるはずがない。
「ん」
Ranは手が疲れたのかさっきよりも
少し大きめに声を出した。
いやいやいや!
ん …って、私が彼の手を掴むってこと?!
無理に決まってる。
「あ、手だけじゃ立てない?」
「え」
Ranは納得したようにそう言うと、
私の頭には右手を添えて、腰には左手を回した。
そしてそのまま、私を軽々しく持ち上げた。
「えっえっ」
思わずマヌケな声を出した。
だってこれって、
お姫様抱っこ??
「ん?」
戸惑う私にRanは私の顔をまじまじと見て、不思議そうに首をかしげた。
「……っ」
あまりの出来事に驚きで意識が遠のいていく。
「お、おい!」
彼の少し掠れた声を聞きながら
私は目を閉じた。