3m先の君に恋愛奮闘中
〔龍 side〕
「ふう……」
外はすっかり暗くなり、
少しだけ寒い春の気温に小さく息をもらした。
未理が、誕生日祝ってあげろとか言うから
母親に柄にもなくケーキなんか買ってしまった。
家帰ったら“キモい”って腹抱えて笑われそうだな。
なんて考えていると
ヴーヴー
携帯が鳴った。
ん?母さんからメールだ。
“商店街の人が祝ってくれるみたいだから飲んで帰るね(^O^)/☆”
…あの野郎。
50近くにもなって、
可愛らしい顔文字を使う母親に
少々いらっときながら携帯を閉じた。
あーくそ。
こんなことになるなら、
もっと未理の側にいれたじゃんかよ。
って、なに考えてんだ、俺。
今日の俺はとことん気持ち悪いらしい。
まぁいいや、
あいつもそろそろ帰る頃だろう。
会場の方まで戻るか。
くるっと体の向きをかえる。
そこに前からケバい化粧をした女達が歩いてくる。
あ……。
よく見るとD GrantのTシャツ着てる。