3m先の君に恋愛奮闘中
こいつらも出待ちしてたのか?
「まじありえないんだけど!!」
ケバい軍団の1人がものすごい形相で声を上げる。
チッ、なんだよ。うるせえな。
「あの女…なんなの?私がRanにお持ち帰りされるはずだったのに」
「まあまあ。あの子怪我しちゃってたから気になっただけじゃない?」
「そうだよ。Ran優しいじゃん。」
「えーでも、あんなチビ、助けなくていいのに!…そりゃあ確かに顔はかなり可愛かったけど」
「だ、大丈夫だよ。ほら、Ranってうちらみたいなタイプが好きじゃん?
あの子 清楚っぽいし……」
聞こえた彼女らの会話に、思わず足が止まった。
元からDGrantの女ファンはギャルが多い。
出待ちに行くほどの熱狂なやつなんて清楚系はほとんどいない。
…………まさか、美理じゃ……、
俺の中で嫌な予感がどんどん高まり、動機が早くなるのを感じる。
つーか、ランの趣味は元々、ケバい女じゃなくて
ちまちました可愛い顔の清楚系だし
……そう、未理みたいな。
やべえ。
考えれば考えるほど、未理がランに
連れて行かれる想像がつく。
けど、あいつに限って…そんなことする男じゃない。
まぁそれは昔の話だけど。
俺は携帯をとりだすと、迷わず連絡帳を開いた。
>>仮屋 未理
彼女の名前を出すと、通話ボタンを押す。
…頼む、出てくれ未理。