3m先の君に恋愛奮闘中
授業が始まっても
前にはまだ笑いがおさまっていない様子の実咲が見える。
もう、そんなに笑わなくてもいいのに。
しょうがないじゃん。
小さい頃から恋愛小説とか少女漫画とか
たっくさん読んでたんだもん。
そういう理想ができたっておかしくないでしょ?
…あー、だめだ。
考えてたら授業聞く気なくなってきた!
私は本日2度目のため息をつくと、机に突っ伏した。
するとちょうど下で小さな音がした。
ーーーパサッ
ん?なんだろう?
プリントでも落としたかな?
下を見ると、メモ帳の切れ端が落ちていた。
きっと私宛だろう。
拾って広げてみると
カクカクした汚い字で大きく英語が書かれていた。
“ SMILU”
ぷっ…なにこれ。
スマイル…?
スペル間違ってるし。
斜め後ろを向くと
龍がちょっと口角を上げて“イエイ”とピースしていた。
…まったく、バカなんだから。
折りたたんでしまおうとして
小さな字でまだ何か書かれてる事に気がついた。
“しょうがないから帰りにアイス奢ってやる”
字の隣には下手くそなソフトクリームの絵が書かれていた。
私が落ち込んでるのに気付いて元気付けようとしてくれてるんだ。
ふふ、なんだかんだ言って優しいなぁ。
私はもう一度後ろを向くと口をパクパクさせて
“ありがと”
そう伝えた。