君を想う【実話】


「いっぱい乗ったねぇ〜!」


瑠奈はご機嫌で、海斗の顔を覗き込む


「連れてきてよかった」


ショップが立ち並ぶ道を歩いていると、海斗が足を止める


「お土産買うか?」


海斗の言葉に返事が詰まる


お土産を渡す相手は、瑠奈には誰一人存在しない



一瞬、脳裏に綾達の笑顔が浮かんだ



「パパとママ..あと、お姉ちゃんとお兄ちゃんに買ってこうよ!」


瑠奈はそんな気持ちをごまかすように、明るい声で言った


お土産を選び、店内を歩いていると大きな大きなぬいぐるみが目に止まる


可愛い..


一目散に走り、瑠奈の背丈ほどあるぬいぐるみを見つめる


「海斗!見て―..あれ?」


そんなことをしていたら、海斗とはぐれてしまった


いつもそばにいる海斗がいなくなると、急に不安に襲われる


人混みをかきわけて店内を探す


何処にもいなくて、店を出ると、一際目立つ海斗の姿が飛込んできた
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