君を想う【実話】
「なぁ、瑠奈」
二人は手を繋ぎ、浜辺を歩く
「なぁに?」
瑠奈は足を止め、海斗を見上げる
「..みんな、心配してんじゃねぇの?」
月の光が、海斗の真剣な表情を照らし出す
「..俺は何も知らねぇけど、携帯が鳴る度に辛そうな顔する瑠奈は見たくねぇよ」
今まで、海斗が携帯のことに触れたことはなかった
海斗はずっと、気にかけててくれたんだね..
「..うん」
気持ちの整理がついてから、ちゃんとしようと思ってた
でも、怖いんだ..
みんな、もう瑠奈のことなんか忘れているんじゃないかって..
あと一歩が踏み出せない
「瑠奈には俺がついてんだろ?」
..そうだよね
瑠奈には海斗がついてる
携帯を見てみよう―
どんな現実が待っているかなんて、わからない
それでも、海斗の手を離さずにいれば怖いものなんてないと思った