君を想う【実話】
瑠奈は携帯を開き、メモリから智也を探す



瑠奈の手で智也を助けたい―..



意を決して、電話をかけた



呼び出し音がとても長く感じる..



「..はぃ」



眠っていたのだろう、寝起き特有の智也の声



懐かしい



大好きだった智也の声



「だれ?」


その言葉に心が痛む


消されてて当然なのに..



「..もしかして..瑠奈か..?」



久しぶりに呼ばれる名前に、胸が苦しくなり涙がこみあげてくる


「..ぅん..っ」


精一杯の返事


「お前、泣いてんのか!?どうしたんだっ!?」


智也の心配そうな声に、こみあげていた涙が溢れてくる



自分が辛いのに..



こんな瑠奈を心配してくれる..



「ともやぁっ..会いたぃ..」



智也に会いたい



今、どうしようもなく会いたい..



「いつもの場所で..」



その言葉だけ残し、電話は切れた



瑠奈は財布だけを手に、家を飛び出した



すぐにタクシーを拾う



「〇高校の前まで」



地元に帰るのは、どれくらいぶりだろう..



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