君を想う【実話】
「寒い..」
冷静になると、寒さが身に染みる
「とりあえず俺んち行くか」
二人は再びタクシーに乗ると、智也の家へと場所を移した
「..すげぇ久しぶり」
家の前に立ち、ポツリと呟いた智也
瑠奈は何も言えなかった
みんな寝ているからと、静かに部屋へ足を運ぶ
初めて智也の家にきた日を思い出していた
「瑠奈、ココアでいいか?」
「うん、ありがとう」
あの時と全く変わらない智也の部屋
主がいなかったんだから、当たり前だよね..
二人の間に、無言の空気が流れる
瑠奈を見つめる智也の視線に気が付いた
「..瑠奈が元気そうでよかった」
変わらない笑顔
少し痩せた気がするけれど、何一つ変わらない
「瑠奈も智也が元気そうでよかった」
二人は自然と寄り添い、肩を並べる
聞きたいことも話したいことも、お互いにいっぱいあるはず
でも今は、そばにいれるだけでいい―..