君を想う【実話】



着いた先は、大きな総合病院―



お兄ちゃんは瑠奈の手を引き、走り出した



受け付けで何やら会話を交わし、病院内をまた走る




そして、一つの扉の前で足を止めた






『手術中』






その文字が光っている




ベンチには、既にパパとママが座っていた




「海斗はっ!?」




その言葉に、この扉の向こうにいるのが海斗だという現実がつきつけられる






なんで..






なんで海斗が―..






その時、扉が開き、中から一人の医者が出てきた



みんな一斉に駆け寄る



一礼をして、医者は事故の経緯を簡単に説明した



そして、海斗の状態が伝えられる



「事故の衝撃で、頭を強く打っています。非常に危険な状態です。最善を尽くしますが..」



一息つき、医者は重たい口を開く




「覚悟だけはしておいて下さい..」




それだけ言うと、医者は中へと戻っていった




泣き崩れるママをパパが支える




「かぃ..と..」




異常なまでに震える瑠奈の体を、お兄ちゃんがしっかりと抱き締めた
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