君を想う【実話】
その後すぐに、お姉ちゃんも駆け付けた




みんな無言で祈り続ける




ママやお姉ちゃんのすすり泣く声が、静かに響いた







海斗..







神様、お願いします







海斗を助けて下さい..







「大丈夫..」



お兄ちゃんは瑠奈を抱き締めながら、そう何度も繰り返し呟いた







何時間たったのか―





実際は、数分かもしれない







再び手術室の扉が開く





さっきの医者が深刻な顔を浮かべる





「容体が急変しました..親族の方、中に入って下さい」





この言葉の意味を察するのに、時間はかからなかった..





パパもママもお姉ちゃんも直ぐ様、中に駆け込む





瑠奈もお兄ちゃんに抱えられるような状態で、中に足を踏み入れた





「..海斗っ!」





海斗の姿を見て、初めて涙が流れた





呼吸器をつけて、苦しそうに息をしている海斗





「嫌..嫌だよっ..海斗っ!」





海斗の元に駆け寄り、手を握る





海斗は少しだけ、でも確かに瑠奈の手を握り返した..





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