君を想う【実話】
海斗は苦しそうに目を開いた



「海斗っ!!」



みんなが必死に海斗の名前を呼ぶ





瑠奈は、強く強く手を握った




そんな姿を見て、海斗は薄らと笑みを浮かべた




声にならない声で何かを言っている




一斉に静まり、海斗の声に耳を澄ます





「ぁり..が..と..」





視線を動かしみんなの顔を見渡し、そう言った




そして、瑠奈の元で視線を止めた




瑠奈もしっかりと海斗を見つめる




海斗は、握りあった手を少し動かす




その動きを感じとりながら、誘導する




海斗の手が、瑠奈の頬に触れた





「..なっ..ぁ..てる..」





海斗は笑みを浮かべる





その頬に、一筋の涙が流れた





瑠奈の手の中で、海斗の手が徐々に重みを増す





海斗は、ゆっくりと目を閉じた





「..ゃっ..海斗..嫌だょ..っ」



「海斗っ!!かいとぉーっ!!!」









ピ―――――ッ









海斗の死を告げる機械音が鳴り響く





「..いやぁーっ!!!」





みんなが、その場に泣き崩れた―..






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