君を想う【実話】
「瑠奈、これを..」
パパが瑠奈の手を取り、何かを握らせた
小さなビニールに入った、海斗の遺品
いつも身につけていた金ネックにピアス
そして、ペアリング―
震える手で握りしめた
涙が枯れることはない..
金ネックにペアリングを通すと、自分の首につける
三つのピアスは、お兄ちゃんとお姉ちゃんと瑠奈で一つずつつけた
‥
明け方、海斗と一緒にみんなで家へと帰った
今日の夜には、もうお葬式が行われる―..
悲しみに浸る暇もなく、パパとママは段取りに追われる
お兄ちゃんとお姉ちゃんも電話を片手に忙しく動いていた
その間、瑠奈は海斗のそばにずっといた
お葬式が始まってからも、片時も海斗のそばを離れることはない
たくさんの人達が海斗の死に涙を流し、別れを惜しんだ
こんなにもたくさんの人に愛されていた海斗..
瑠奈に出会っていなければ..
みんなの涙は雨に変わり、やむことはなかった..