君を想う【実話】



その光景に涙が溢れる





「かいとっ!!かいとぉーっ!!」





みんなの叫び声が悲痛に響き渡る





「..かぃと..っ..」





気付けば、瑠奈の足は海斗を追っていた





それは、お兄ちゃんも一緒だった





係の人の声なんて聞こえない





止められる腕を振り払い、直も走り続ける





「..かいとっ!!」





必死に棺にしがみつき、小窓を開ける







海斗の顔を見た、その時







確かに、声が聞こえた









瑠奈、愛してる―









聞き取りにくかった最後の言葉..








それは確かに、海斗の声だった








「海斗..大好きだよ..」








海斗の姿が消える








火葬の合図がした









「かいとぉーっっ!!」









声が枯れるまで叫んだ









海斗は空に還っていった









雲一つない空の、雲となって―..








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