君を想う【実話】
§第15章..一歩§
それからしばらく、海斗のいない家で過ごした



「瑠奈はこの家の娘だと思ってるから、好きなだけここにいなさい」



パパとママがそう言ってくれた




海斗がいなくなっても、変わらずに進む世界




瑠奈は未だにその現実を受け入れられなかった..





コンコン―




「瑠奈、入るぞ」


数回ノックをしてお兄ちゃんが部屋に入ってくる


「どうしたの?」


「いや別に、瑠奈と話でもしようかなって」


そう言って瑠奈と向かい合わせに腰を下ろす


ここ数日、考え事をしてる感じのお兄ちゃんが目についた



「瑠奈は、高校いかないのか?」



その言葉に、瑠奈は顔を下に向ける


「..わかんない」


そう呟いた



「もうすぐ卒業だろ?このまま学校いかなくていいのか?」



責めるわけでも怒るわけでもなく、瑠奈の目を見て優しく問いかける



お兄ちゃんと海斗は、二人とも中卒だった


後悔してる、という話を聞いたことがある



学校で待ってる静達や竜達を思い出し、少し胸が痛んだ
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