君を想う【実話】
「..好きな男はどうした?」
お兄ちゃんの真剣な眼差しに目が反らせない
瑠奈は大きく首を横にふる
あれから、連絡はきてるもののずっと返せずにいた
「..それは、海斗が死んだからか?」
直球な質問に返す言葉がみつからない
瑠奈が智也を好きにならなければ、海斗は死ななくて済んだ..
その思いだけが瑠奈の心を支配していた
「..海斗がそんなことを望んでんのか?そばにいた瑠奈が一番わかってんだろ」
お兄ちゃんは瑠奈の気持ちを読みとったように、切な気に笑った
別れを告げた日の、海斗の言葉を思い出す..
絶対、幸せになれよ―
「今の瑠奈を見ても海斗は喜ばねぇ。ちゃんと幸せになって、あいつを安心させてやってよ」
大きな手で、瑠奈の頭を撫でる
あの日から、お兄ちゃんは海斗の変わりにずっと瑠奈を支えてくれた
海斗に似た大きな手で..
「海斗は、瑠奈のこといつも心配してたよ。学校のことも友達のことも..」
「..うん。瑠奈、ちゃんと考えてみる」
そんなお兄ちゃんにも、もちろん海斗にももう心配はかけたくない