君を想う【実話】
「..違う」
その言葉に胸がズキッと痛む
「だよな!じゃぁ俺、補習戻るから」
尚輝は智也の肩を叩き、校舎内に消えていった
重い空気..
智也は、尚輝のいた場所に腰をおろす
「..ごめん」
一言、そう呟いた
「彼氏でもねぇのに嫉妬したりして、まじだせぇな!」
智也は、明るく声をあげて笑いとばす
でも..
その横顔が切なくて..
「..どうした?」
気付けば、智也に抱きついていた―
「..わかんない」
そんな瑠奈を智也は引き寄せるように、抱き締める
「そんなんだから、みんなお前のことほっとけねぇんだよ..」
顔は見えないけど、きっと寂しそうに笑ってる
ほっとけないのは、智也のほうだよ..
お願いだから、そんな顔して笑わないで..
二人の間に、それ以上の会話はなかった
まだ気づいていなかったんだ..
二人の気持ちが、すれ違い始めていることに―..