君を想う【実話】


「瑠奈っ!やばいって!入学式早々遅刻だよ!」


静は瑠奈を後ろに乗せた自転車を勢いよく走らせる


「だいたい静が化粧すんの遅いからじゃん〜」


「瑠奈のほうが二分早く終わっただけでしょ!」


そんな言い合いをしながら、真新しい制服に身を包み学校へ向かう



今日は入学式―..



案の定、遅刻した瑠奈達は軽く説教をくらって静かに体育館へ入る


驚いたのは瑠奈と静が同じクラスになったこと


この学校は三年間クラス変えがないから、二人で喜んだ



延々と続く校長の長い話に飽きながら、外に見える先輩達を見ていた



あの日から、智也と連絡をとっていない..


一回メールをいれたものの、智也が掛け直してくることはなかった



「瑠奈と一緒のクラスでほんとよかった〜!」


式が終わり、ご機嫌な静と一緒に教室に向かう


その途中、一人の男が瑠奈の姿に笑顔で駆け寄ってきた


「るぅ久しぶり〜!入学おめでとさんっ」


いかつい尚輝に静が一瞬固まるのがわかり、思わず笑った


「ありがとっ!補習、平気だったの?」


瑠奈が何気なく言った言葉に、尚輝が顔を曇らせる
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