君を想う【実話】
教室に戻ると、瑠奈は無言でずっと机に塞ぎこんでいた


静はただ黙ってそばにいてくれる




..



「瑠奈..」


静が遠慮がちに瑠奈の肩をゆする


「..ん?」


重い体を起こして、静のほうを見る


「呼んでるよ..」


静は廊下を指差しながら、心配そうに呟いた




その指指す先を視線で辿る―




瑠奈の心臓が早くなる





なんで智也がいるの..?





「瑠奈〜!ちょっときてっ!」



会いたくないはずなのに、自然と体は智也へ向かってしまう



「..どうしたの?」


その問いに答えることなく、智也は瑠奈の手を取り、歩きはじめた


わけがわからないまま、瑠奈は黙ってついていく



「..そういえば俺、留年しちった!補習全然できなくてさぁ〜」



智也は笑いながら、軽くそう言った



嘘つき..



瑠奈の胸は、張り裂けそうなほどに締め付けられる



智也は庭に続く外廊下で足をとめた



そこには、数名の柄の悪い男達



制服の新しさから、瑠奈と同じ一年だということがわかる
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