君を想う【実話】
「るぅごめんな?」
泣いている瑠奈の頭を優しく撫でる尚輝
「亮介達、わりぃけど健一のこと保健室つれてってやって」
亮介達が健一の腕を取り、保健室へと向かう
智也はうつ向いたまま、顔を上げようとしない
「なぁ智也、いい加減ほんとのこと話せよ」
その言葉に、智也は横目で尚輝を睨む
「..なに?..ほんとのことって」
瑠奈の言葉にその場が一瞬、静まりかえる
「なんでもねぇよ..」
智也は小さく呟き、瑠奈達に背をむけて去っていく
尚輝は小さく溜め息をつき、口を開いた
「あいつに..彼女いるの知ってるだろ?」
瑠奈は黙って頷く
「あれ、違うんだ..」
小さくなった智也の後ろ姿を見つめながら、尚輝は切な気に笑った
違う..?
何が違うの..?
瑠奈は混乱する頭で、尚輝の次の言葉を待つ
「あの女..入学式前に、瑠奈に絡んだ女なんだよ。覚えてるか?」
うる覚えだが、そうじゃないかと思っていた
瑠奈は再び頷く
尚輝の真剣な眼差しに、瑠奈の心臓は早まる
どんな真実を聞いても、受け入れなくてはいけない―..