君を想う【実話】
「嫌..智也じゃなきゃ..っ」
消えてしまいそうな智也の手をギュッと握る
バンッ―
見上げると、智也の顔がすぐそこにあった
瑠奈の後ろの壁に手をつけて、悔しそうに拳を握る
瞬間、二人の唇が重なった
瑠奈の口を割って入ってくる智也の舌
荒々しいキスなのに、何故か切なさ感じる
「..俺のことは忘れろ」
智也の頬に一筋の涙
あまりに切なく優しい声
離れていく智也の姿
瑠奈は追うことができなかった―
‥
どれくらい泣いただろう..
涙を拭い、瑠奈は屋上を後にする
健一に聞けば、何かわかるかもしれない..
「健一!」
教室に向かって叫ぶ
あんなことがあったばかりだからか、みんなの視線が突き刺さる
ふと視線を智也の机にやると、鞄がなくなっていた
「瑠奈?」
振り返ると健一が立っていた
「場所かえよう」
健一に手を引かれ、瑠奈は黙ってついていく