君を想う【実話】
ほぼ同時に、瑠奈と尚輝の足が止まった




「と..もや..っ」




瑠奈の目に飛込んできたのは、数人の教員に押さえられる智也の姿



その目の前には、瑠奈のお兄ちゃん達に押さえられる三年の男の姿があった



そこら中に割れたガラスの破片が飛び散っている



二人のワイシャツは、所々が赤い血で染まっていた




目の前で、教員達に連れていかれる智也と三年の男




瑠奈は、足が震えてその場にしゃがみこんだ




「..瑠奈、大丈夫か?」



尚輝の声も届かない



目の前に誰かが、しゃがみこんだ




「..お兄ちゃん」



その言葉に横にいた尚輝は驚いたように、お兄ちゃんと瑠奈を見つめる


周りにいた野次馬もざわめきだす



この学校で二人が兄弟だと知っているのは、お兄ちゃんの周りと静と智也くらい



背が高くて真っ赤に染めた髪が不思議なほど似合う、お兄ちゃん



誰も気付かないのは、学校内じゃ滅多に話さないから..




そして何より、みよじが違うから―..




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