君を想う【実話】
「柊先輩が、瑠奈のお兄ちゃん?」
尚輝は固まったように、お兄ちゃんと瑠奈を見る
そばにいた健一達も目を点にしていた
お兄ちゃんは、みんなと仲が良かったから驚くのも無理はない
柊 隼人(ヒイラギ ハヤト)
瑠奈の実の兄
「あー..こいつ、俺の妹だから。まぁ今度説明するわ。今はそれより..」
お兄ちゃんの目線が尚輝達から瑠奈に戻る
「瑠奈、立てるか?」
瑠奈は力なく首を横にふった
「ったく!」
面倒臭そうな声とともに、瑠奈の体はお兄ちゃんにかつがれる
「えっーと..尚輝とあと、状況詳しくわかる奴!」
その言葉に健一達がおずおず手を上げた
「うしっ、じゃーお前等もこい」
お兄ちゃんは瑠奈をかついだまま、野次馬達を怒鳴りちらして何処かへと足を進める
その後ろから、尚輝と健一達もついてくる
なんか、こういう時ってかつがれてばっかだな..
そんなことを冷静に思いながらも、脳裏に焼き付いて離れない智也の姿
現実逃避からか、半ば思考回路が狂っていた
もう、何も聞きたくないよ..