君を想う【実話】
中庭で足を止め、乱暴に地面に放り投げられる


みんなで輪を作るように、座った


瑠奈は、尚輝とお兄ちゃんの間で小さくなる



「で、誰か説明してくんね?俺は途中からしか知らねぇから」


お兄ちゃんの言葉に健一達が顔を見合わせる


「今日、山口先輩がうちのクラスにきて..」


口を開いた健一が、少し気まずそうに瑠奈をチラッと見た


「瑠奈の悪口むちゃくちゃに言って..それで、智也くんブチ切れて..」


「悪口って?」


気をつかった健一に対して、お兄ちゃんはその繊細を求める


「遊び人のヤリマンで..セフレも彼氏もいっぱいいるだの..」


健一は地面を見つめながら、小さく言った


「まぁそれはしょうがねぇよ。事実だし」


瑠奈は、お兄ちゃんを軽く睨む


「認めなきゃお前は山口の気持ちもわかんねぇだろ」


鋭く睨み返す目に、瑠奈は目を反らした



山口って誰だ..



瑠奈は狂った思考回路を建て直すように記憶を探るが、やっぱりわからない



しばしの沈黙が流れる



< 192 / 436 >

この作品をシェア

pagetop