君を想う【実話】
お兄ちゃんは、尚輝や健一達にそのことを説明してたのだろう


ボンヤリとみんなの話し声が頭に入ってきた



「おい、瑠奈。わかったか?今更そんな話ひっぱりだす山口も山口だけど、そんなふうにしたお前が悪いんだよ」



お兄ちゃんの声が、やたらと頭に響く




「わかってる..」





わかってるよ..





けいちゃんを傷つけた罰




それが、まわってきた





自分に降りかかるより、何百倍も辛い




大切な人の元に..






瑠奈がそばにいたら




あと何度、智也を傷つけるだろう




あと何度、智也の人生を狂わすだろう..








「でも、今回のことは瑠奈が悪いんじゃない。お前を守りたくて、智也がやったことだ。お前が責任を感じれば、智也が苦しむ」



お兄ちゃんの真剣な眼差しから、瑠奈は目を反らした



「俺が..俺がやればよかったんすよ!智也くん、次はないっていわれてたのに..」



健一が今にも泣きそうな声をあげる



「..それじゃ意味がないんだよ。智也は瑠奈を自分で守りたかったんだから」



尚輝は優しくそう言って、健一の肩を叩いた
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