君を想う【実話】
「ふーん。じゃ俺と一緒に住む?」
拓磨は相変わらずな態度で突拍子もない言葉をはいた
何を言ってるんだ、こいつは..
「そうだね、うん」
瑠奈は冗談だと受け流し、適当に返事を返す
「よし、決まり」
拓磨は来た道を引き返す
「はっ!?何で引き返すのよ」
「俺の家あっちだから。ちなみに昨日、引っ越してきたばっか」
スタスタと瑠奈の手を引いたまま歩く
「ちがーうっ!なんで十分前に知り合った奴と一緒に住むわけ!?」
「お前、住むって言ったから。それに時間は関係ねぇだろ」
その言葉に瑠奈は唖然とする
「俺なら手出さないし、お前の仕事場も近いよ?」
目があって、拓磨はフッと笑った
胸が痛むほど、海斗に似たその笑顔
「まぁそれもそうだね」
深く考えるのを辞めた
他の男より拓磨のほうが安心感あるし..
一番の理由は、海斗に似てるからだけど..
こうして奇妙な同棲生活がスタートする
拓磨の家は、本当に瑠奈の仕事場から近かった
そして引っ越してきたばかりと言った通り、何もなかった..