君を想う【実話】
瑠奈が起きると、まだ拓磨は眠っていた


「海斗、おはよ..」


その寝顔を見て、瑠奈はポツリと呟いた



半分、無意識の言葉



瑠奈は、お風呂に入って準備をしてから、ご飯を作る


「おはよ」


ご飯の匂いにつられたのか、拓磨は起きてきた


二人で食べるこの光景も、もう随分と当たり前になっている


「どこいきたい?」


拓磨は、味噌汁をすすりながら瑠奈を見る


「あんたは行きたいとこないの?」


「遊園地」


その返事に、瑠奈は飲んでいたオレンジジュースを吹き出しそうになる


「なんだよ?」


拓磨は眉間にしわを寄せ、瑠奈を睨んだ


「いや、あんたにしては可愛いなって」


瑠奈は笑いながら、昨日の拓磨の言葉をそのまま返す


「うるせぇ。連れてってやれなかったから..」


拓磨はそこで言葉を止めた


「はいはい、瑠奈も久しぶりに行きたいから決まりね」


気付かないフリ


拓磨はたまに、誰に言ったのかわからない言葉を瑠奈に向ける



そして、悲しい顔で笑うんだ―




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