君を想う【実話】
「―..」
「ん?」
チュッ―
目の前には、海斗―
いや、拓磨の顔
見つめあってるようで、見つめあっていない
儚い幻想―..
「ごめん」
観覧車が地上につく頃、拓磨が呟いた
「謝るならしないでくれる?」
言葉とは反対に悪戯に笑ってみせた
手を引かれ、歩いてく
「なぁ、付き合おっか」
車の中で、いきなり拓磨はそう言った
「は?なにいってんの?」
瑠奈は本当に驚いた顔をしていただろう
「お前が他の男んとこいったりすんの嫌だし」
拓磨の視線が瑠奈を捕らえる
そんな目しないでよ..
なんで、そんなこと言うの?..
あの時の
別れを告げた時の
きっと、海斗の本心だった言葉―
「..いいよ」
瑠奈の返事に、拓磨の口元が軽くあがる
もう、傷つけたくない..
「もう、いなくなんなよ」
小さい声で呟いた拓磨
拓磨が誰かに向けた言葉が、まるで海斗に言われてるようで..
胸の痛みが、消えることはない―