君を想う【実話】
その日、ソファーベッドの一つに二人で眠った



真っ暗の部屋の中




重なる唇




瑠奈の身体を上から下まで優しく愛撫する



「ん..っ..」



瑠奈は吐息以外の声を押し殺す


それは、拓磨も同じ



一言も言葉を発しない




声を聞けば、現実に戻ってしまうから―..




お互いの裏に違う人を想い描いていること




出会った時から、きっと二人は知っていた






拓磨が果てて、ベッドに横になる



瑠奈は、外した海斗の思い出を首に戻す



「だいじなもんなの?」


拓磨は、横目でその行為を見た


「まぁね」


瑠奈は軽く返事を返す



きっと、これをつけて抱かれるのを許されるのは、智也だけ..



「ふーん、それペアリング?」


「なにあんた、瑠奈に興味あるの?」


やたらと聞いてくる拓磨を馬鹿にしたように笑ってみせる



「あるようなないような。でも俺の女だから」


そんな意味不明な言葉を残して、拓磨は眠ってしまった




瑠奈を後ろから、ギュッと抱き締めたまま..




< 213 / 436 >

この作品をシェア

pagetop