君を想う【実話】
それからの生活は、もう最悪だった



口を開けば、すぐに喧嘩



瑠奈は拓磨に追い込まれて



拓磨は瑠奈に追い込まれる



そんな悪循環



お互いの首を絞めあうだけの生活..




それでも瑠奈は、拓磨のそばから逃げなかった




逃げたのは、拓磨―




友達の家を泊まり歩くようになった



こんな家に帰りたくなくなるのも無理はない





それでも―





二人なら、乗り越えられると信じたかった..







「俺達は、前みたいに戻れるかな..」



拓磨が悲しく呟く



瑠奈は黙ったまま、バレないように涙を流した



「もう一回、二人でがんばろう..」



拓磨の想いが嬉しかった




もう一回、一から二人でやり直そう―




そう思った





拓磨は、前みたいに毎日帰ってくるようになった



瑠奈も再び家事をやるようになった




お互いが思いやり、歩み寄る




二人は深い悲しみに耐えられず、一番大切なことを忘れていた





もう一度




もう一度、前みたいに戻れると





この時の二人は信じていた..






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