君を想う【実話】


「ごめん..俺」


朝起きると、拓磨が弱々しく謝ってきた


酔いが覚めて冷静に戻ったのだろう


「ん、だいじだよ」


瑠奈は朝食を作っていた台所から、目を離さずに答えた



男なんだからしょうがない..



自分の気持ちだけで禁欲させて悪かった、と自分に言い聞かせる


「今日、新しくできたショッピングモールいくか。瑠奈いきたいって言ってたろ?」


やや機嫌を伺うように瑠奈を覗き込む


拓磨は、休みの時は毎回どこかへ連れてってくれるようになった


「うん、いく!」


今度はちゃんと、拓磨に笑顔を向けて答える



この短期間でわかったこと..


二人でやり直していくためには、前よりもお互いの我慢が必要なんだ


この時期を乗り越えれば、前みたいに戻れるはずだから..



「映画館も入ってるみたいだし、ついでになんかみよーぜ」


「うん!瑠奈、あの新しいやつがいい」


出来あがった朝食を口に運びながら、今日一日の予定をたてる


楽しそうに予定をたてる瑠奈の顔を拓磨は優しく見守る、これだけはずっと変わらない
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