君を想う【実話】
「きてくれてありがとな」
浜田先輩が瑠奈の肩を抱いて呟いた
「智也..平気だよね?」
震える声を絞りだして、すがるように浜田先輩を見る
気付けば、瑠奈の目からは涙が溢れていた
「智也は、瑠奈の悲しむことしねぇよ」
浜田先輩はそう言って、瑠奈の涙を服の袖で拭う
その時、瑠奈達の後ろからパタパタとスリッパの音が聞こえてきた
二人は同時に振り向く
「浜田くん、明日からでも智也は一般のところに移れるみたい」
そこには、小柄な可愛らしいおばさんが目を潤ませて立っていた
「まじっ!?俺、毎日でもお見舞いくるよ」
浜田先輩は嬉しそうに笑顔を見せて、そのおばさんと話している
もしかして、智也のお母さん..?
「..こちらの子は?」
瑠奈に微笑みかけたおばさんの顔は、やっぱり智也に似ていた
「もしかして..瑠奈ちゃん?」
いきなり名前を呼ばれてドキッとしながらも、首を縦にふる
「やっぱり..ほんとに可愛らしい子ね」
そう言ったおばさんの顔には智也と同じ、可愛い笑顔が浮かんだ