君を想う【実話】
「あら、ごめんなさいね。智也、瑠奈ちゃんのことだけは楽しそうに話してくれてたから..」
おばさんは、瑠奈が不思議そうにしてたのがわかったのか、そう付け足した
智也が瑠奈のことをお母さんに話してくれてたなんて..
この状況で、不謹慎ながらも嬉しかった
「佐々木 瑠奈っていいます。智也が目を覚ますまで毎日こさせてもらいますね」
そう言うとおばさんは瑠奈の手を取って、目に涙を溜めながら、ありがとうと呟いた
「今日はもう遅いから、みんな帰って平気よ。瑠奈ちゃんは、帰り大丈夫?」
その言葉に、拓磨を待たせていたことを思い出す
時計を見ると、小一時間たっていた
「大丈夫です!また明日きますね!」
頭を下げて最後にもう一度、ガラス越しの智也を見つめる
明日になれば、この距離もなくなるんだ..
「智也、また明日くるからね」
小さくそう呟いた
みんなに別れを告げて病院を後にする