君を想う【実話】
そのまま二人は、朝を迎えた


心とは逆に眩しい日差しが差し込む



瑠奈は拓磨が起きる前に、荷物をまとめ始めた




思えば、不思議な始まりだったよね..




海斗に似た拓磨



瞳さんに似た瑠奈




出会った日から一緒に暮らし始めた、二人の全てだったこの家




そんなたくさんの思い出で溢れるこの家とも、今日でさよなら










「おはよっ」


ダンボールに荷物を詰める瑠奈の頭を拓磨がクシャッと撫でる


拓磨は最後だから、って仕事の休みをとってくれた


「おはよ〜」


当たり前の会話も、今日で最後なんだと実感する



でも、もう涙は見せない



自分で決めたこと



最後くらい、笑顔で別れたいから..




「瑠奈、飯つくってよ。ビーフシチュー食いたい」


わかった、と言って瑠奈は最後の料理を作る



初めて拓磨に作った料理



覚えてたんだね..



懐かしさと切なさが同時に込みあげてきて、涙がこぼれないように上を向いた



横目で拓磨を見ると、瑠奈の荷物をまとめていてくれてる



たまにどっちの物か迷っているその姿がおかしくて、少し笑みがこぼれた
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