君を想う【実話】
「瑠奈、入るぞ?」
その声に、鼓動が速まる
「う..うん」
尚輝の手がドアに触れた
ガチャッ―
視界に飛び込んできたのは、真っ白な病室
一つのベッド
そこに眠る智也の姿
「智也、きちゃった」
尚輝が出してくれた椅子に、二人は座った
今日も智也の心臓を刻む機械は、乱れることなく鳴っている
こんなに近くで見るのは、半年ぶり..
大工をやっているだけあって、元々筋肉質な体が更に鍛えられている
このベッドは、智也の身長じゃ窮屈そうだ
「俺、売店で飲み物買ってくるわ」
瑠奈がわかった、と言うと尚輝はドアの前で足を止める
「智也のこと襲うなよ?笑」
そう言い残し、笑って病室を出た
いつもこうやって、尚輝は気を利かしてくれるんだんだよね..
瑠奈はそっと、智也の頬に触れた
その暖かさに安心する
「智也、好きだよ..やっぱ離れらんないよ..」
智也の手を握り、呟いた
いつも瑠奈の手をスッポリ包む大きな手
瑠奈は両手でしっかりと、その大きな手を包んだ