君を想う【実話】
それからも毎日、瑠奈は智也の元へ通う


智也の病室は、面会時間の始めから終わりまで、人がいないことはなかった



「早くいかなきゃ!」


時計に目をやって、瑠奈は足を早める


通い始めて一週間、今日も当たり前のように智也の元へ向かう





ガチャッ―





「とーも..っ」



一番のりだと思った瑠奈の視線に飛び込んできたのは..




智也の隣に座る、綺麗な女の人―




女の人と瑠奈の視線が重なる



「あ..すいません!」



瑠奈は、とっさにドアを閉めた



胸がドキドキいってる




あの人は、誰..?




智也のところに瑠奈以外の女の人がきたのは、初めてのことだった



「綺麗だったな..」


驚いて引き返したものの行く場所もなくて、瑠奈は中庭をトボトボと歩く



何故か目頭が熱くなってきて、空を見上げる



「瑠奈ちゃんっ!!」



いきなり名前を呼ばれて振り返ると、さっきの女の人が立っていた


走ってきたのか、肩を上下に息を切らしている
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