君を想う【実話】


「もう少しだけ待っててな」



智也は小さく、でも力強くそう言った




その言葉の意味は―..




瑠奈は智也の肩に顔を埋めて頷いた



そして、最後にみんなと挨拶を交わして病院を後にした



ちょうどきていたお兄ちゃんと一緒に帰る



明日は、みんなで智也の退院祝いを行うらしい



心配してた大きな怪我などもなく、体は大丈夫みたいで安心した




「まじ?よかったね!ほんとよかった..」


「うん!ありがとね」


ベッドに寝転がり、携帯を耳にあてながら微笑む


電話越しからは、静の安堵の溜め息が聞こえた


静達には、子供が流産したことも拓磨と別れたことも話してある



もちろん智也のことも..



一回だけ、静達も一緒にお見舞いにいった



瑠奈が決めたことなら―



そう言って、応援してくれた



本当にいつもいつも静達には、感謝している..



「..で、智也くんとはどうするの?」


静がニヤついてるのが、声だけでわかった



「その時まで待つよ」


瑠奈は目を閉じて、智也の言葉を思い出す




ずっと待つよ..




迎えにきてくれる、その日まで―..




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