君を想う【実話】
次の日も変わらずに、朝から病院へ向かう



「とーもーやっ!」



ただ一つ、いつもと違うのは..



智也が笑顔で待っていること




「よぉ!はぇーなっ」


智也は自分の横をポンポンと叩いて、瑠奈を呼ぶ


そこに飛び込むように座ってニコニコする瑠奈に、智也は吹き出した


「犬みてぇ..笑」


「なにそれ!ひどいしっ」


拗ねたフリをして、瑠奈は背を向ける


「可愛いってことだよ」


智也がその背中を優しく抱き締めた


「今日、退院祝いやるみたいだね!」


高鳴る鼓動をごまかすように、大きな声をだす


「退院早々かよ〜」


うなだれる声とは裏腹に、智也は嬉しそうに笑顔を浮かべた


「昼過ぎには帰れるんでしょ?」


「おぅ。美華の車で迎えくるって」


今日はみんな気を利かせてくれたのか、迎えがくるまで二人きり



幸せだな..



ふと花瓶を見ると、昨日のお花が不器用に飾られている


「これ智也がやったでしょ〜笑」


あまりの不器用な生けかたに思わず笑ってしまった


「うるせぇー」


智也は赤くなった顔を隠すように、瑠奈の背中に顔を埋める
< 274 / 436 >

この作品をシェア

pagetop